「三年身籠る」DVD

06年作品。
女優・唯野未歩子さんの原作、監督・脚本デビュー作。
公開時、かなり評判を集めていたが、賛否両論だった。
たしかに、好き嫌いのはっきり分かれる作品だと思う。
(「どこがいいのかわからん」なんて意見もよくあったし)
私も出だしこそ「なんか、んー・・・」と思ったが、しかしすぐにひきこまれ、
なんとも説明しがたい、ものすごい力作だと思った。
   
人間の子どもは10ヶ月の妊娠期間を経て生まれてくる。
(生まれなければ産科で強制的に生まれさせられる。
 生物的な胎盤の賞味期限ってのがあるからね)
しかし、これは、時が満ちてもなかなか生まれない。
おなかはどんどん大きくなる。母体はもう動くこともできない。


「自分が生まれてきたときのことって、忘れちゃったんだよね。
でもオギャーって泣くんだから、きっと哀しい気持ちだったんだろうな」
というセリフがあるのだけど、もし胎児に人としての意識があるなら、
何を思い、何を決断の契機として生まれてくるのか?
そこに求められている環境とはどんなものなのか?

また、誰もが10ヶ月で否応なしに当然のように親になるのだけど、
親になるとは、そこにどういう資質が求められているのか?
いや、そもそも親になるとは、どういうことなのか?

冬子(中島知子)と徹(西島秀俊)は、3年の妊娠期間をもって
確かに、親としての資質を充実させていく。親になっていく。
そこを、はじめて子どもは誕生の契機として、この世に出てくるのだ。

もちろん、ことはすんなりとは進まない。

オレ(徹)のせいなのか? 遺伝子異常だろうか?
いや、浮気したからバチがあたったのかも?
ううん、もしかしたら徹の子じゃなくて、前の恋人の子かも?
いやいや、そもそも、誰の子なんだよ??
もしかしたら、宇宙人の子かなんか、SFなんじゃないか!?

なかなか生まれない子どもに夫婦は翻弄され、
そこに妹・緑子(奥田恵梨華)や恋人の産婦人科医・海(塩見三省)、
母(木内みどり)、祖母(丹阿弥谷津子)などがからみ、
それぞれの思い、葛藤、皮肉やこっけいさ、笑いなどを盛り込んで
ストーリーが展開していく。
このへんはすばらしい洞察力、観察力、表現力。

結論はファンタジーと思えばよい。ここでリアルは関係ない。
西島さんが、独特の、飄々として繊細でなんともいえない魅力を
存分に発揮している。イイ男で、ダメ男な、でもいいヒトな徹が、
しっかりと「父」を自覚していくところがすばらしい。

中島知子は、最初ボーっとした感じで、下手なのかと思ったが、
途中で、きっぱりとした表情になっていくのが見事。
大人になれない屈折した緑子と、刹那的な海くんがかわっていく姿も
よく演じられている。
塩見さんの女装がケッサク。けっこうカワイイ(^^



こちらは原作。
三年身籠る三年身籠る
(2005/10/20)
唯野 未歩子

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コメント

 
ホラーじゃないのね←アフォ
タイトルだけで怖かったんだよう;^^
親になる脂質、じゃなくて資質。
今でも、自分ってたいした親じゃないなあ、と思うなあ。
だから、ぜひ自分を超えてもらいたい。
(たぶんやすやすと超えるだろうが)
でも、最近は親になる自覚もなく、何となく親になってしまうことも
多くあって、その結果子どもたちが不幸な目に合うのは辛いわ。
親子ってほんと難しいね。
>親になる脂質
これなら自信あるかもしれん(^^;;

ホラーじゃないんだよ〜。けど、コワイよ〜。おなか、爆発しそうだもん。
爆発して、触覚はえた宇宙人が出てきそうだもん>コラ

「だんだんに親になっていく」ってのもあると思うけど・・・
でも、「親になるぞっ!!」っていう決意・覚悟みたいのが最大の資質だと
言われている気がしたよ、この作品(^^v

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