「楽園」 宮部みゆき
図書館の予約本がやっとまわってきて読んだ。
上下2巻だが、読みやすく、特に下巻は1日で読んだ。
05年7月〜06年8月産経新聞の連載小説。
最近、平野啓一郎さんの「決壊」が、例の秋葉原の事件を
先取りしていたことで話題になっているが、この本も
都内某所の事件を先取りしていたのだそうだ。
作家には何かそういう世の中の事象を敏感に感じ取る
資質があるらしい。
宮部さんは、この構想を自分の見た夢から得たと書かれている。
「ゆれる」の西川監督も、夢で見たことを作品化したと言っていた。
作家、芸術家、クリエイティブな才能にあふれる人たちは、
やはりどこか凡人とは違う鋭い感性を持っているのだろう。
実際の事件ニュースで(忘れているけど)見たのかなぁ・・・?
サイコメトラーもテーマだから、「ガリレオ」でやったっけ?みたいな
既視感、デジャビュ?のような感覚におそわれつつ読み始めた。
あの「模倣犯」の前畑滋子のその後(9年後)である。
交通事故で亡くなったある母子家庭の愛らしい少年が
時空的に知りえないはずの事件の絵を描いていた。
少年にはなにか特別な才能があったのか?
少年はサイコメトラーなのか?
なぜ美少女は殺されて15年間も床下に埋められていたのか?
なぜ両親は、時効後になって事件を明るみに出したのか?
少年の母と美少女の妹の依頼で事件を探ることになった滋子は
少年があの「模倣犯」の事件の舞台となった別荘の絵も描いていた
ことを知り、運命的な思いから深く関っていく。
なぜだ?なぜ少年は、誰から、どこから、事件を知っていたのか?
作中の「親だから」という思いと決断と実行は、
エゴイズムであり、驕りであることは否定できない。
子はわが子ではあるが、別の人格であって、
「子」の前に一人の「人」だ。
そんなことは誰にでもわかりきっているのだ。
しかし、わが子がどうしようもない状況にあり、脱出は
もはや不可能だと知ったとき、親はこういうことをするものかもしれない。
それは、やはり、エゴというより、「愛」と呼ぶべきものなのだろう。
発作的な苦渋の決断ではあっても。
いろんな角度から描かれる「親の思い」が深く胸を打つ。
人物の設定も描写も非常に優れている。
ただ「模倣犯」のような、謎を追うおもしろさにひかれて読むと
いうのとは少し違う。筋は複雑に入りくんだものではなく、
純然としたミステリとしてのおもしろさは「模倣犯」には劣るだろう。
「楽園」も、なぜ、なにを「楽園」としたか、
それは人としての性(さが)へのどうしようもない諦観なのか、
あるいは肯定なのか。。。切ない読後感が残る。
とにかく、子を思う親の気持ちは読むものの心を深くえぐり、ゆさぶる。
「子である人」「親である人」が一読すべき感動作だと思う。
上下2巻だが、読みやすく、特に下巻は1日で読んだ。
05年7月〜06年8月産経新聞の連載小説。
最近、平野啓一郎さんの「決壊」が、例の秋葉原の事件を
先取りしていたことで話題になっているが、この本も
都内某所の事件を先取りしていたのだそうだ。
作家には何かそういう世の中の事象を敏感に感じ取る
資質があるらしい。
宮部さんは、この構想を自分の見た夢から得たと書かれている。
「ゆれる」の西川監督も、夢で見たことを作品化したと言っていた。
作家、芸術家、クリエイティブな才能にあふれる人たちは、
やはりどこか凡人とは違う鋭い感性を持っているのだろう。
![]() | 楽園 上 (1) (2007/08) 宮部 みゆき 商品詳細を見る |
実際の事件ニュースで(忘れているけど)見たのかなぁ・・・?
サイコメトラーもテーマだから、「ガリレオ」でやったっけ?みたいな
既視感、デジャビュ?のような感覚におそわれつつ読み始めた。
あの「模倣犯」の前畑滋子のその後(9年後)である。
交通事故で亡くなったある母子家庭の愛らしい少年が
時空的に知りえないはずの事件の絵を描いていた。
少年にはなにか特別な才能があったのか?
少年はサイコメトラーなのか?
なぜ美少女は殺されて15年間も床下に埋められていたのか?
なぜ両親は、時効後になって事件を明るみに出したのか?
少年の母と美少女の妹の依頼で事件を探ることになった滋子は
少年があの「模倣犯」の事件の舞台となった別荘の絵も描いていた
ことを知り、運命的な思いから深く関っていく。
なぜだ?なぜ少年は、誰から、どこから、事件を知っていたのか?
作中の「親だから」という思いと決断と実行は、
エゴイズムであり、驕りであることは否定できない。
子はわが子ではあるが、別の人格であって、
「子」の前に一人の「人」だ。
そんなことは誰にでもわかりきっているのだ。
しかし、わが子がどうしようもない状況にあり、脱出は
もはや不可能だと知ったとき、親はこういうことをするものかもしれない。
それは、やはり、エゴというより、「愛」と呼ぶべきものなのだろう。
発作的な苦渋の決断ではあっても。
いろんな角度から描かれる「親の思い」が深く胸を打つ。
人物の設定も描写も非常に優れている。
ただ「模倣犯」のような、謎を追うおもしろさにひかれて読むと
いうのとは少し違う。筋は複雑に入りくんだものではなく、
純然としたミステリとしてのおもしろさは「模倣犯」には劣るだろう。
「楽園」も、なぜ、なにを「楽園」としたか、
それは人としての性(さが)へのどうしようもない諦観なのか、
あるいは肯定なのか。。。切ない読後感が残る。
とにかく、子を思う親の気持ちは読むものの心を深くえぐり、ゆさぶる。
「子である人」「親である人」が一読すべき感動作だと思う。
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