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花笑み*マイ・フェイバリット

ワンコと映画と演劇と音楽と本とおいしいものと… 好きなもの、お気に入りのものについて書いていきます。

Top Page › Archive - 2013年07月
2013-07-24 (Wed)

「海賊とよばれた男」 百田尚樹

「海賊とよばれた男」 百田尚樹

2013年本屋大賞1位だった歴史経済小説。出光興産の創始者:出光佐三をモデルにした自伝的小説だ。主人公は国岡鐵造という名前になっており、あくまで「小説」であるが、読めば、石油業界のことや当時の詳しい情勢などをこれまで知らなくて本当にごめんなさいと言わねばならない感動のストーリーだ。出光(小説では国岡商店)の社風もすごいし、社員のみなさんもすごい。ただ辣腕というのではなく、確固たるポリシーを持って、その...

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2013年本屋大賞1位だった歴史経済小説。
出光興産の創始者:出光佐三をモデルにした自伝的小説だ。
主人公は国岡鐵造という名前になっており、あくまで「小説」であるが、
読めば、石油業界のことや当時の詳しい情勢などをこれまで知らなくて
本当にごめんなさいと言わねばならない感動のストーリーだ。

出光(小説では国岡商店)の社風もすごいし、社員のみなさんもすごい。
ただ辣腕というのではなく、確固たるポリシーを持って、そのもとに
ぶれることなく持てる力のかぎり精進努力するというところが素晴らしい。
私たち凡人はついつい文句を言って努力を迂回する道を探そうとするし、
なにかと右に左にと軸はブレブレ、あげくにただの保身に終始してしまったり
ということになりがちだ。

正しいと思う道を貫け、けして妥協するな、人を第一に大切にせよ。
儲けるのではない、人々を幸せにする、国を豊かにする、それが商売だ。
この主人公たちの生き方、仕事の仕方は、遠い昔に置き忘れてきた
日本人が共有してきた魂のDNAにダイレクトに語りかけてくる。
そのピュアな精神が多くの読者の心をつかんでいるのだろう。

イランの石油を買いにいくために、イギリス海軍の海上封鎖の中、
命がけの隠密航海でホルムズ海峡を渡る部分が実に手に汗握る迫力。
いちばん読ませるところだ。
百田さんの小説にはいろんなジャンルがあり、個々の好き好きもあるが、
この作品は全ての人に愛読されると思われる。
おじさま族にもおすすめの一冊。
上下2冊だが、スイスイと読めるので、3,4日で読了OK。


海賊とよばれた男 上海賊とよばれた男 上
(2012/07/12)
百田 尚樹

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* by ちゃいむ
前からすごく話題になってるよねー
私は百田さんのご本人のイメージが強くて
(おもろくて言いたいこと言う探偵ナイトスクープなおっさん)
まだなかなか本が読めてません。
「永遠の0」が積んである(汗)

Re: タイトルなし * by 美月

> 私は百田さんのご本人のイメージが強くて
> (おもろくて言いたいこと言う探偵ナイトスクープなおっさん)

私はツイッタでフォローしてるんですが、そちらのイメージもなかなか
個性的(^^;でありまして、、、(笑
まあ、本人と作品は別物とわりきって。(^^
これはマジで感動作だったよん。

2013-07-21 (Sun)

名フィル定期 第404回

名フィル定期 第404回

名フィル定期演奏会 第404回マーティン・ブラビンズ常任指揮者就任披露公演<火・水-炎は天界を焼き、指輪は水中に還る/ワーグナー生誕200年記念>ワーグナー: 楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕前奏曲 ワーグナー: ヴェーゼンドンクの5つの詩 ワーグナー: 楽劇『ラインの黄金』より「ヴァルハラ城への神々の入城」 ワーグナー: 楽劇『ワルキューレ』より「ワルキューレの騎行」 ワーグナー: 楽劇『ジーク...

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名フィル定期演奏会 第404回
マーティン・ブラビンズ常任指揮者就任披露公演

<火・水-炎は天界を焼き、指輪は水中に還る/ワーグナー生誕200年記念>

ワーグナー: 楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕前奏曲
ワーグナー: ヴェーゼンドンクの5つの詩
ワーグナー: 楽劇『ラインの黄金』より「ヴァルハラ城への神々の入城」
ワーグナー: 楽劇『ワルキューレ』より「ワルキューレの騎行」
ワーグナー: 楽劇『ジークフリート』より「森のささやき」
ワーグナー: 楽劇『神々のたそがれ』より「ジークフリートの葬送行進曲」
        「ブリュンヒルデの自己犠牲」

[指揮]マーティン・ブラビンズ
[ソプラノ]スーザン・ブロック
[コンサートマスター]後藤龍伸
名古屋フィルハーモニー交響楽団

7/20(土)愛知県芸術劇場コンサートホール
teiki404_s.jpg

ついに正式なブラビンズさんの常任披露公演、
世界的なドラマティック・ソプラノ:スーザン・ブロックさんを迎えた
ワーグナーづくし、後藤さんのコンマスに太郎ちゃんつき、
これは行くっきゃないと誰もが思ったはずで、案の定、早くに席をとったものの、
その時すでに正面のSは3階の後ろの方しかないとのことで、
やむを得ず2階から1階に垂れる部分の右側で聴くことにした。
3列目なので、ほぼ1階の3・4列目と同じくらいの場所。初めての席だ。

低音側の金管や打楽器がよく聞こえる。ハープも目の前なのではっきり聞こえる。
始めの「マイスタージンガー」は、いつもと席が違うから感じるのかなぁと
思ったのだが、なんとなく聴きなれたワーグナーと違うイメージがした。
うまく言えないのだが、いつもの、音がキラキラしながらひとつに固まって
くるような、艶々した勾玉のような、あるいは金属の球のような
硬質な塊のような、スペーシィな、そういう私のワーグナーイメージとは違って、
なんというか、もっと“オーケストラ的”というか、劇的装飾的でなくて、
交響曲的表現というか。
しかし、後半になるにつれてだんだん音の世界に没頭して集中して
いったので、聴くことに夢中になっていったのですが、
これが「ブラビンズさんのワーグナー」ということかなぁ、と思った次第です。

しかし、悪かったというのではありません、もちろん。
ラストに向けておおいに盛り上がっていきました。
スーザン・ブロックさんのソプラノは、とても清らかで美しく、
きゃんきゃんしたところがなく、意志的で知的で、哀しく切なく
きっぱりとブリュンヒルデの運命を熱唱され、とても感動しました。
これほど情感豊かな表現力というのは、いったいどうすれば身につくのか、
やはり天性の才なのだろうかな、などと思いつつ。

今シーズンからブランビンズさん×小出さん企画でポストリュードがつく
らしく、この日もインタビューと客席との質疑応答がありました。
そのあたりは機会あればまた後ほど。
ブランビンズさんのクリアファイルももらいました。お宝にします(^^


* by 珍言亭ムジクス
後半も楽劇の音楽というよりシンフォニーのようでした。
『ラインの黄金』を第1楽章として考え、『神々の黄昏』を2部からなる第4楽章と捉えることもできます。

オケでは「ジークフリートの葬送行進曲」が一番良かったと思います。
それ以上に「ブリュンヒルデの自己犠牲」のスーザン・ブロックの歌唱は素晴らしかった。

いずれ今回同様にヴァーグナー歌手(バス・バリトン)を呼んで『ヴァルキューレ』の最後の場面「ヴォタンの別れと魔の炎の音楽」を聴かせてほしいものです。

* by 美月
始めは違和感を持ちつつでしたが、だんだん「指環」の世界に没頭していって
自分でストーリーを追いながら集中していきました。
ラストのブリュンヒルデの最期では楽劇を何夜も連続で観てきたような気持ちで
感動でうるうるしました~♪

>ヴァーグナー歌手(バス・バリトン)を呼んで『ヴァルキューレ』の最後の場面「ヴォタンの別れと魔の炎の音楽」を
うわ~聴きたい、聴きたい、これはぜったい行きますよ~(^^v

2013-07-18 (Thu)

「冷血(上・下)」高村薫

「冷血(上・下)」高村薫

高村ミステリ作品の“合田雄一郎”が登場する。しかし、ミステリというよりは、ここ数年の純文学系作品だ。カポーティの「冷血」(読んでません:汗)への挑戦ということのようで、上下二段組みの、分厚い上下二冊に、みっちりと、事件資料的な内容が次々と引用されて推理が進められていくので、とても重たい。しかし、高村さん特有の、美しく無駄のない、リズム感のある流麗な文章で綴られていくので、読むのは苦にならない。なんと...

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高村ミステリ作品の“合田雄一郎”が登場する。
しかし、ミステリというよりは、ここ数年の純文学系作品だ。
カポーティの「冷血」(読んでません:汗)への挑戦ということのようで、
上下二段組みの、分厚い上下二冊に、みっちりと、事件資料的な内容が
次々と引用されて推理が進められていくので、とても重たい。

しかし、高村さん特有の、美しく無駄のない、リズム感のある流麗な
文章で綴られていくので、読むのは苦にならない。
なんというか、文が、生きてるんだ。
熱帯のジャングルに棲息する危険な動物のように、ひっそりと闇に潜み、
しなやかに樹を上り、鮮やかに枝へジャンプする、そしてまた、殺気を
消して、静かに次の獲物を狙う、そんな感じのする文章だ。

事件は東京郊外で起こった医師一家殺害事件。
犯人の戸田と井上は、34歳と31歳、未来あふれる年代のはずの二人だが、
何の関係もないふたりが、なぜ、何の接点もなかった一家を残らず
惨殺したのか。幼い弟までも。
動機なき冷血な殺人に彼らを駆り立てたものは何なのか。

犯人たちの内面の冷血が、一家の長女の13歳の日常と対比されて描かれる。
長女高梨あゆみが、ずば抜けた優秀な頭脳を持ち、友情や家族愛の中に
日々を送り、ささやかな悩みと反発と愛らしさを保ちながら健やかに成長
してきた少女が、初潮を迎えた日の夜に、何のいわれもない、知らない男に
いきなり声を出す間もなく惨殺される。

残忍な事件を起こさせるのは、「時代」のような、あるいは「偶然」
のような、犯人の外側にあるものなのか、それとも、
ただもう「犯人の内側」にある「なにものか」がなせるものなのか。
だとするならば、人間とは何なのか。
存在とは何なのか。
最初から決められたものなのか。
逃げられない運命を負ったものとしてヒトは生命を受けるのか。
ならば最初から救いはないわけなのか。
だとしたら、何のために私は存在しているのか?「私」とは何だ?

とても読み応えのある作品。高村さんの真骨頂という一作だ。
ただ非常に重く沈鬱であるので、体調のよい時に読まれるがよろしいかと。

冷血(上)冷血(上)
(2012/11/29)
高村 薫

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* by めーちゃん
私もこういうの
書きたいです。

目下苦戦中。

先日応募したのはボツでした。

* by 美月
めーちゃん
ちょいお久しぶりです。
なかなか難しいですねぇ。。。
がむばつてください。

2013-07-18 (Thu)

「KAMIKAKUSHI 神隠し」長野慶太

「KAMIKAKUSHI   神隠し」長野慶太

クリスマスイブの大混雑の中の荒天で混乱を極めるロサンゼルス空港の保安検査場で、忽然と一人の子どもが消えた。厳重な管理下で誰かが侵入することは不可能であり、また子どもがどこかにさ迷い出ることもありえない。なぜ?どこへ?誘拐?超自然現象?KAMIKAKUSHI?第4回日経小説大賞受賞作品。緊迫したミステリサスペンスの中に、アメリカ社会が抱える法制度の闇を抉り出し、家族の問題と再生、愛と信頼を描いており、ストーリー...

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クリスマスイブの大混雑の中の荒天で混乱を極めるロサンゼルス空港の
保安検査場で、忽然と一人の子どもが消えた。
厳重な管理下で誰かが侵入することは不可能であり、また子どもが
どこかにさ迷い出ることもありえない。なぜ?どこへ?
誘拐?超自然現象?KAMIKAKUSHI?
第4回日経小説大賞受賞作品。

緊迫したミステリサスペンスの中に、アメリカ社会が抱える法制度の
闇を抉り出し、家族の問題と再生、愛と信頼を描いており、
ストーリーとしてはおもしろいと思った。
しかし、生意気を覚悟で書けば、文章があまりよろしくない。
文章に美しいリズムがなく、読んでいればつっかえる感じがする。
大賞を得る作品としてはそこをもうひとつか。

KAMIKAKUSHI   神隠しKAMIKAKUSHI 神隠し
(2013/02/21)
長野慶太

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2013-07-18 (Thu)

「55歳からのハローライフ」村上龍

「55歳からのハローライフ」村上龍

人世の折り返し地点をすぎた男女のそれぞれの「再出発」を描いた新聞連載の5編の中編集。鮮烈なデビュー作から常に時代の風の側面をするどく切り取った作品を次々と発表してきた村上龍さんが、こういう作品を書かれるというのは隔世の感ありだなぁと思いつつ読み始めたのだが、(こういう、というのは、いわゆる普通の人々が登場し日常が描かれる物語、という意味で)「中高年の困難さは経済的な格差を伴って多様化し、解決策は一...

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人世の折り返し地点をすぎた男女のそれぞれの「再出発」を描いた
新聞連載の5編の中編集。
鮮烈なデビュー作から常に時代の風の側面をするどく切り取った作品を
次々と発表してきた村上龍さんが、こういう作品を書かれるというのは
隔世の感ありだなぁと思いつつ読み始めたのだが、
(こういう、というのは、いわゆる普通の人々が登場し日常が描かれる物語、
という意味で)

「中高年の困難さは経済的な格差を伴って多様化し、解決策は一人ひとり
違う。『ものづくり日本の復活を』といった画一的な訴えではくくれないことに、
多くの物語の作り手やメディア側が気付いていない」
というご本人の言葉のように、これはやはり、まさしく「今」を切り取った
提言小説ということになるのだと気付く。

生きにくい世をどうサバイバルすればよいのか。
作家がテーマにしているのは、「人間関係」「信頼関係」ということ。
結局、答えは自分で見つけなければならない。
その時代ごとに先人たちが生き抜いてきたように、いつの世もどの世代も
どんなに生きづらくても生き残らなければならない。
中高年も、若者も、少年も、老人も。
とにかく生きる。負けないで生きる。
結論はこれしかないんだぞ、とドスのきいた低い声で、しかし共感と優しさを
こめて重々しく語られているような作品だった。じんわり励まされる。

55歳からのハローライフ55歳からのハローライフ
(2012/12/05)
村上 龍

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2013-07-16 (Tue)

「清須会議」三谷幸喜

「清須会議」三谷幸喜

生誕50周年記念三谷幸喜書き下ろし小説。信長亡きあとの日本の歴史を左右する五日間の攻防を「現代語訳」で綴るエンタテインメント作品。本能寺の変、「アチチ」と火をよけながら「イテテ、おなか切るのって痛い」と言いつつ、英雄信長が死んだ。跡目を継ぐのは、柴田勝家か、羽柴秀吉か。決着は「清須会議」でつけられることになった。お市の方は秀吉憎しで勝家側につくが、勘違いした勝家はお市の方と再婚できると有頂天、「香の...

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生誕50周年記念三谷幸喜書き下ろし小説。
信長亡きあとの日本の歴史を左右する五日間の攻防を「現代語訳」で綴る
エンタテインメント作品。

本能寺の変、「アチチ」と火をよけながら「イテテ、おなか切るのって痛い」
と言いつつ、英雄信長が死んだ。
跡目を継ぐのは、柴田勝家か、羽柴秀吉か。
決着は「清須会議」でつけられることになった。
お市の方は秀吉憎しで勝家側につくが、勘違いした勝家はお市の方と再婚
できると有頂天、「香のもの」と言われ「らっきょ漬け」を届ける勘違いおやじだ。
前哨戦のイノシシ狩りでもまさかの笑える敗北をきした秀吉は、
会議に必勝の策をもって臨むが・・・・
丹羽長秀、池田恒興、お市、松姫、寧、信長の息子たち、それぞれの思惑、
露骨で滑稽な頭脳戦、だましだまされ、うらをかき、ぬきでようとする
卑怯でなさけない心理戦、これこそが歴史の真実だ?!

愉快痛快、歴史オンチでも楽しめる、笑える、読むべし(^^

清須会議清須会議
(2012/06/27)
三谷 幸喜

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* by 珈琲党
怒濤の更新ですねぇ。
まるで、締め切り前の作家センセーか、夏休み末期の学生さんのようで。
最近読書量が減ったので、気力回復の意味も込めて、オススメのどれかを読んで景気づけをしてみようと思っています。

暑いときには涼しい部屋で熱い話がいいですかね。

* by 美月
珈琲党さん こんにちは(^^
読書ネタ、たまってますので、まだまだ更新しますよー(笑
大作家センセとしては一日10万字パワーでいきたいですね。

最近では読んでも若い頃のようにそんなに深く考えることがなくなって
なんとなく「ふーん…」と読み飛ばしてしまいます。
なので感想も上っ面だけになっておりますが、
それも、まぁいいか、と思ってしまふお年頃です(^^;←ダメだよ~ん



2013-07-16 (Tue)

「微笑む人」貫井徳郎

「微笑む人」貫井徳郎

エリート銀行員の仁藤俊実が妻子殺しで逮捕された安治川事件。動機は「大切な本の置き場所が足りなくなったから」という理由。事件に興味を持った作家の「私」は作品としてまとめようと関係者の取材を始める。仁藤は誰からも「いい人」と信頼されていた。しかしその一方で意外な冷酷な一面も浮かび上がってくる。さらに、仁藤の元同僚と大学の同級生らが不審な死を遂げていることがわかる。仁藤は本当に殺人を犯しているのか?作者...

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エリート銀行員の仁藤俊実が妻子殺しで逮捕された安治川事件。
動機は「大切な本の置き場所が足りなくなったから」という理由。
事件に興味を持った作家の「私」は作品としてまとめようと関係者の
取材を始める。
仁藤は誰からも「いい人」と信頼されていた。
しかしその一方で意外な冷酷な一面も浮かび上がってくる。
さらに、仁藤の元同僚と大学の同級生らが不審な死を遂げていることが
わかる。仁藤は本当に殺人を犯しているのか?

作者はラストを無責任に投げ出している、という感想も多かったようだ。
しかし「こういうものなんだ」という現実をそのままに提示していることが
作品の目的なのだと私は思った。
人とはわからないもの。自分の範疇に属さない人物も大勢いる。
全ての人のことが自分に全部わかると思ったら大きな間違いで、
ぜったいわからない、ぜったいありえない、なぜ?ということもたくさんあるのだ。
それが人というものだ、ということだろう。
明るい未来を向いた作品ではないが、読み応えのある一作だった。

微笑む人微笑む人
(2012/08/18)
貫井 徳郎

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2013-07-16 (Tue)

「空白を満たしなさい」平野啓一郎

「空白を満たしなさい」平野啓一郎

土屋徹生、36歳、サラリーマン。ある日会社の会議室で目覚め、家に帰ると、自分は3年前に死んでいることを知らされる。おりしも世界各地で、死んだ人間がよみがえる「復生者」のニュースが報じられる。徹生もその一人なのだった。徹生の死因は自死であると、会社の屋上から飛び降りたのだと聞かされるが、しかし、徹生自身には自殺するような理由が思い当たらない。愛する妻と幼い息子、幸福な家庭、やりがいのある仕事、なぜ自殺...

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土屋徹生、36歳、サラリーマン。
ある日会社の会議室で目覚め、家に帰ると、自分は3年前に死んでいることを
知らされる。
おりしも世界各地で、死んだ人間がよみがえる「復生者」のニュースが報じられる。
徹生もその一人なのだった。
徹生の死因は自死であると、会社の屋上から飛び降りたのだと聞かされるが、
しかし、徹生自身には自殺するような理由が思い当たらない。
愛する妻と幼い息子、幸福な家庭、やりがいのある仕事、なぜ自殺するものか。
もしかすると自分は殺されたのではないか。そうだ、突き落とされたんだ。
それなら思い当たることがある。あいつが犯人に違いない。目的は?
・・・・ミステリ仕立てで、自分の死の真相と、生の意味を追及する徹生の姿に
現代の抱える多くの問題と、生きる意義、幸福のあり方を問いかける長篇。

重くて長い作品なのだが、ミステリとして展開していくので、先が気になって
どんどん読み進んでいくことになる。
ラストに至るにつれて感動的なシーンが連続し、涙なしには読めない。

死んだらダメだよ、自分はひとりきりではないし、自分のかかわる幾多の
関係性の中で自分は生かされ、その関係の数だけ自分を支えてくれる人が
いる。苦しい時は、それが自分の全部を支配してしまうと考えないことだ。
自分は分けられる。自分の大切な人のために最後まで生きろ。

「救われた」「生きる力がわいた」と感動の声が多くアップされていた。
おっしゃる通り、なのだが、
私は、徹生が犯人じゃないか?と疑う男が、もう、すごく、すごーーーーく、
イヤなヤツで、いっしょの空気も吸いたくない卑怯なゆがんだ思考で、
その不快感でいっぱいになってしまい、読後の熱い感動の妨げとなって
しまいました(^^;;;
三部作は「決壊」が一番よかったな。でもしばらく平野さんはいいわ。


空白を満たしなさい空白を満たしなさい
(2012/11/27)
平野 啓一郎

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2013-07-16 (Tue)

「私とは何か――「個人」から「分人」へ 」平野啓一郎

「私とは何か――「個人」から「分人」へ 」平野啓一郎

「個人」という言葉、individual、もうこれ以上分けられない「私」となる。個人は、分けられない。当たり前だ。しかし、人格はどうだろう?あなたといる時の私、家族といる時の私、仕事場での私、趣味に没頭している私、私の中には様々な私がいる。私は、相手によって変わるいくつもの「私」がある。「本当の自分」は、ひとつ、ではない。いろいろな自分がいてよいのだ。たったひとつの「本当の自分」なんて存在しない。対人関係ご...

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「個人」という言葉、individual、もうこれ以上分けられない「私」となる。
個人は、分けられない。当たり前だ。
しかし、人格はどうだろう?
あなたといる時の私、家族といる時の私、仕事場での私、趣味に没頭している私、
私の中には様々な私がいる。私は、相手によって変わるいくつもの「私」がある。
「本当の自分」は、ひとつ、ではない。いろいろな自分がいてよいのだ。
たったひとつの「本当の自分」なんて存在しない。
対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。

という「分人」dividual という思想について述べられている。
私とは何か?自分はこれからどう生きていくべきなのか?
現代人の実情に適う思想を一から考えて行こうという書である。

平野氏の新作「空白を満たしなさい」を読むために、その分人思想
というものを知っておこうと思い、読んだ本。
「分人」は、「決壊」「ドーン」そして「空白を満たしなさい」
と続いて語られている平野氏のテーマである。

おそらく、平野氏にはキリスト教的思想が根幹にあるので「分けられない」
「絶対」の「私」というものが大きなテーマになっているのではないかと
思う。しかし、一般的な日本人的仏教的思考では、それほどそのことが
強く意識されることはなくて、普通に個人として分人を生きることを
ごくあたり前に行っているように思う。
それともそう思うのは私の脳ミソがボケただけかもしれないが。
というわけで、それほどガツン!とくるわけでもなく「空白を~」に
進んだのだけど、若い人たちには「これで救われた」と言う感想も
多かったようだ。
「私」で悩まなくなった、ということは、トシの功か、老化か(^^;

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)
(2012/09/14)
平野 啓一郎

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2013-07-16 (Tue)

幸福になる「脳の使い方」 茂木健一郎

幸福になる「脳の使い方」 茂木健一郎

またしても題名につられて買ってしまった本。新書はほんとに「題名・命」だなぁと思ふナリ(^^子どもの頃は多動症で自家中毒で潔癖症、人見知りで人間関係が苦手、ストレスの塊のような筆者であったのに、今現在のこの茂木健一郎がいるのはなにゆえか。「幸福とは何か」「幸せになりたい」常に問いかけられるテーマであるが、現代においてストレスと無縁で暮らすことは不可能である。どうすればストレスから解放されて幸せを実感...

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またしても題名につられて買ってしまった本。
新書はほんとに「題名・命」だなぁと思ふナリ(^^

子どもの頃は多動症で自家中毒で潔癖症、人見知りで人間関係が苦手、
ストレスの塊のような筆者であったのに、今現在のこの茂木健一郎が
いるのはなにゆえか。
「幸福とは何か」「幸せになりたい」常に問いかけられるテーマであるが、
現代においてストレスと無縁で暮らすことは不可能である。
どうすればストレスから解放されて幸せを実感できるようになるのか?

結論から言うと、それは自分次第。
自分の考え方ひとつで人生の幸福度はかわる。
思考法を変えることで人は幸福にもなれるし、不幸にもなるのだ。
では、幸福になれる思考法について具体的に考えよう、という内容。

・「絶対幸福」というのはない。どんな幸福も比較で揺らぐ。
 幸福を決める尺度はひとつではない。
・脳から不安をなくす「スルー力」
・年齢を重ねるほどにしなやかに自由になれる力
・毎日の「今、ここ」に幸福を見出す力
などなどについて述べられている。
自分から幸せを内側に呼び込んで暮らそう、そうすれば幸せがやってくるよ、
というポジティブシンキングの教えである。

あとがきの「赤毛のアン」について書かれている部分がよい。
茂木さんの人生の書が「アン」であることは有名(^^

――「赤毛のアン」から学ぶ「幸せになる力」は、あきらめないこと、
そしてひたむきに生きること。
あきらめない気持ちを持ち続けることが、セレンディピティを呼び込む。――

私もアンシリーズの大ファン(*^^* ほんとに名作だよなあ~♪

幸福になる「脳の使い方」 (PHP新書)幸福になる「脳の使い方」 (PHP新書)
(2013/01/17)
茂木 健一郎

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2013-07-15 (Mon)

「英語を学ぶのは40歳からがいい」 菊間ひろみ

「英語を学ぶのは40歳からがいい」 菊間ひろみ

題名に誘われてついつい手にとってしまう新書。「おおっ!」という内容のものも少なくないが、「なんだかなぁ」というのもけっこうあるね(^^;←本書の内容が悪いというのではありません。40歳を過ぎてからの方が学ぶ目的がはっきりしてるので、しっかりくじけずに勉強を続けられるよ、というのが「~がいい」の理由だそうで、これは、ありゃ、また題名につられちゃったよ(^^;の部分。力がつくという「3つの習慣」は、1:...

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題名に誘われてついつい手にとってしまう新書。
「おおっ!」という内容のものも少なくないが、「なんだかなぁ」というのも
けっこうあるね(^^;←本書の内容が悪いというのではありません。

40歳を過ぎてからの方が学ぶ目的がはっきりしてるので、しっかり
くじけずに勉強を続けられるよ、というのが「~がいい」の理由だそうで、
これは、ありゃ、また題名につられちゃったよ(^^;の部分。

力がつくという「3つの習慣」は、
1:音読、2:多読、3:必要最低限の英語表現を覚える
ということで、これもこれまでもどこでも言われてきたことではある。

なので、特に新鮮な内容ではないけれども、
具体的に何をすればいいかを例を出して示してくれているところ、
「日本人が間違えやすい英語表現」という章が復習になったという点、
巻末付録の「音読して覚える44の表現」が復習に使えるかなの点、はよし。
ということで、英語が得意ではない中年以降の初心者を勇気づけてくれる
書ではあると思った。
しかしなんだかんだノウハウを読んでも、実際に毎日継続しなければ
何にもならないわけで、これまでいくつもこういうのを読んだよなあと、
ならばやれよ、と自分に思う、なさけない私である(^^;
何事にも近道はないのだ。わかってるんだよ。

英語を学ぶのは40歳からがいい 3つの習慣で力がつく驚異の勉強法 (幻冬舎新書)英語を学ぶのは40歳からがいい 3つの習慣で力がつく驚異の勉強法 (幻冬舎新書)
(2012/09/12)
菊間 ひろみ

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2013-07-15 (Mon)

「ペコロスの母に会いに行く」岡野雄一

「ペコロスの母に会いに行く」岡野雄一

しばらく[books]カテゴリの更新をしてなかった(なんと2月から!(^^;が、本は読んでいたので、これからボチボチやっていこうと思います。これは岡野さんご自身のお母様の介護を漫画で綴られたもの。亡くなられたお父様の思い出もたくさん込められており、愛情に満ちています。「美化している部分もあります」「想像もあり」「実際はもっとハード」というお話をされているのをTVで拝見しました。子としては、元気で長生きしてく...

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しばらく[books]カテゴリの更新をしてなかった(なんと2月から!(^^;
が、本は読んでいたので、これからボチボチやっていこうと思います。

これは岡野さんご自身のお母様の介護を漫画で綴られたもの。
亡くなられたお父様の思い出もたくさん込められており、
愛情に満ちています。
「美化している部分もあります」「想像もあり」「実際はもっとハード」
というお話をされているのをTVで拝見しました。
子としては、元気で長生きしてくれることが一番うれしいわけですが、
現実は過酷で、生半可なものでないのは想像に易いこと。
時には、いや毎日が、ハラのたつこと、なさけなくて泣けてくること、
なげ出したくなることの連続であることがわかります。
いつも平常心で、優しい気持ちで接するなんてことが難しいのは
言うまでもない。
私も義母91歳を施設に預けており、何も言えた立場ではないけど、
いろんな段階を経て、だんだんペコロスさんの境地になってきた。
長生きしてほしいとか、安らかであってほしいとか、そういうのを
超えて。「人生ってたいへんだなあ」と思うのがいちばんというか。
誰もが来た道、誰もが行く道。
不安もあり、諦観もあり、せいぜい「今」を楽しく豊かに過ごしたいと
考えるわがままなヨメであります。ごめんなさい。
もし私が「母」の方になったなら、「子」や家族には幸せな気持ちで
毎日過ごしてもらうことが一番の希望だと思う。たぶん。
そう思うことを言い分けにして、日々を送っておる次第です。


ペコロスの母に会いに行くペコロスの母に会いに行く
(2012/07/07)
岡野 雄一

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2013-07-13 (Sat)

三浦一馬 バンドネオンコンサート

三浦一馬 バンドネオンコンサート

三浦一馬 バンドネオンコンサート7/12(金)名古屋市北文化小劇場[ピアノ] 山田武彦クルティス「帰れソレントヘ」カプア「オー・ソレ・ミオ」レハール「君が我が心のすべて」ララ「グラナダ」ガーシュイン(三浦一馬編曲)「3つのプレリュード 第1番」ガーシュイン( 〃 )「ラプソディー・イン・ブルー」  ―休憩―ピアソラ( 〃 )「オブリヴィオン」マルコーニ( 〃 )「モーダ・タンゴ」バンドネオン・ソロ・メドレーピアソ...

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三浦一馬 バンドネオンコンサート
7/12(金)名古屋市北文化小劇場

[ピアノ] 山田武彦

クルティス「帰れソレントヘ」
カプア「オー・ソレ・ミオ」
レハール「君が我が心のすべて」
ララ「グラナダ」
ガーシュイン(三浦一馬編曲)「3つのプレリュード 第1番」
ガーシュイン( 〃 )「ラプソディー・イン・ブルー」
  ―休憩―
ピアソラ( 〃 )「オブリヴィオン」
マルコーニ( 〃 )「モーダ・タンゴ」
バンドネオン・ソロ・メドレー
ピアソラ( 〃 )「アディオス・ノニーノ」
ピアソラ「乾杯」

<アンコール>
ピアソラ「リベルタンゴ」
ヘラルド・マトス・ロドリゲス「ラ・クンパルシータ」
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コンサートは三部構成。
前半の前半は、「バンドネオンはテノールのような音色なんです」
という一馬くん、「美しいメロディのある曲をやってみようと思った」
とのことで、普段バンドネオンでは演奏されないような選曲で始まった。
聴きなれたメロディに、山田先生の美しい華麗なピアノが寄り添って
とてもうっとりとした演奏です。
そのあと後半はガーシュインになり、ジャズマインドが盛り上がっていきます。

休憩の後はバンドネオンの真骨頂を存分に満喫させてくれる素晴らしい演奏が
続き、会場全体でリズムをとっているような感じになっていきました。
一馬くん、わんだほー、バンドネオン、なんてステキなんだ、
山田先生、ピアノうますぎ。

「今日は本場の人のように熱心に聴いてもらい、こちらも熱の入った演奏が
できました」という挨拶で、アンコール、おまちかねの「リベルタンゴ」

そのあと、拍手が鳴りやまない。だんだん手拍子になっていき、再登場。
「じゃあ、これ以上はホントに用意がしてないので、何がいいですか?」
とのことで、「あれ」「これ」の声の中、「ラ・クンパルシータ」に決まり、
即興での演奏。これまたステキ。うっとり。すばらし~ぃ。

とても楽しいコンサートでした。
またしても優れた若き才能との邂逅。
アルゲリッチやバシュメットにも愛されるワールドワイドな1990年生まれ。
このところ、才能に恵まれ、演奏素晴らしく、ルックスも美しく、
そして明晰な頭脳で思慮深く人間性にも優れている様子が見てとれる
というような若き逸材の演奏を聴くことが続いた。
いいなぁ(^^ 活躍、応援しますよー。
一馬くん、かわいいー、いい人よねー、などと友と語りながら帰宅(^^



2013-07-11 (Thu)

シネマ歌舞伎「怪談 牡丹燈籠」

シネマ歌舞伎「怪談 牡丹燈籠」

月イチシネマ歌舞伎 7月「怪談 牡丹燈籠」7/9これは以前にも観たのだけど、役者さんがいいので何度観てもよい。幽霊のお露がいちばん純真で、もっと怖いのが生身の人間の欲と業。(お露の惚れた男への執着という業が発端ではあるが)必然の運命が絡み合って凄惨な滅びへと至るなんともあわれで哀しい物語。しかし仁左衛門・玉三郎のコンビの絶妙のやり取りが笑いを誘うし、三津五郎さんの大活躍もあって、楽しい作品となっている...

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月イチシネマ歌舞伎 7月「怪談 牡丹燈籠」7/9

これは以前にも観たのだけど、役者さんがいいので何度観てもよい。
幽霊のお露がいちばん純真で、もっと怖いのが生身の人間の欲と業。
(お露の惚れた男への執着という業が発端ではあるが)
必然の運命が絡み合って凄惨な滅びへと至るなんともあわれで
哀しい物語。
しかし仁左衛門・玉三郎のコンビの絶妙のやり取りが笑いを誘うし、
三津五郎さんの大活躍もあって、楽しい作品となっている。
いいなぁー、うまいなぁーと思わせてくれる名演。

[上演月]2007年10月
[上演劇場]歌舞伎座

伴蔵:仁左衛門
三遊亭円朝/船頭/馬子久蔵:三津五郎
萩原新三郎:愛之助
お露:七之助
お国:吉弥
飯島平左衛門:竹三郎
宮野辺源次郎:錦之助
お峰:玉三郎

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2013-07-08 (Mon)

名古屋能楽堂七月定例公演

名古屋能楽堂七月定例公演

名古屋能楽堂七月定例公演巌に花の咲かんがごとし。能「野守」(観世流)/シテ 梅田嘉宏狂言「宝の笠」(和泉流)/シテ 今枝郁雄解説「野守」について /武田大志7月6日(土)超初心者能入門鑑賞会(^^)二回目です。前回に引き続き、無知をさらけ出し、恥を覚悟で書いていきます(^^;今回は公演に先立ち、30分間の解説がありました。詳しく丁寧に教えて下さいます。昼食でお腹は満たされ、空調の気持ちよい静かな空間で...

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名古屋能楽堂七月定例公演

巌に花の咲かんがごとし。

能「野守」(観世流)/シテ 梅田嘉宏
狂言「宝の笠」(和泉流)/シテ 今枝郁雄
解説「野守」について /武田大志

7月6日(土)
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超初心者能入門鑑賞会(^^)二回目です。
前回に引き続き、無知をさらけ出し、恥を覚悟で書いていきます(^^;

今回は公演に先立ち、30分間の解説がありました。
詳しく丁寧に教えて下さいます。
昼食でお腹は満たされ、空調の気持ちよい静かな空間で、ワルイ睡魔が
ささやかな向学心をそそのかしにやってきます。
あっさり負けるわけにはいかないけれど、ぜんぜんだいじょうぶとも言えない
状況であります。せめて陥落は避けるべしと我を励まします(苦笑

最初の狂言は、定番の無知を侮られて騙された~というお笑いもの。
みなさん声をあげて笑っておられ、会場は和やかなムードになっていきます。

後半の能「野守」は、世阿弥作の夢幻能、鬼神物で、「小べしみ」という
口を一文字に噛みしめた鬼神の面で演じられます。
シテの老人が塚の中に入った後、ワキの山伏が熱心に法事をしていると
塚から鬼神が問題の鏡を持って現れる。
そして高貴で荒々しい威力を見せ付け、奈落の底に帰っていく。

この鬼神の、ドンドンと足を踏み鳴らしながら、縦横無人に動き回り、
華麗に舞う、その様子が迫力があり、気品に満ち、なかなか素晴らしい。
地謡と笛や鼓も気迫に満ちて、底から湧きあがってくるような力と
リズム感がある。

うん、能って、おもしろいかもしれない。
まだ「かも」「しれない」の段階だけれども。
かつて祖先たちがあらゆる感情を表現する場で謡い、舞った、
そして、やがて、庶民に愛され、エンターティナーとして華やかに
発展していった歌舞伎と、一方で、一部のインテリゲンチャに好まれ、
その様式美が継承されていった能、この両方を考えると
なかなかおもしろいものがあるなあと思いました。

全てを結界である能舞台の上で演ずる能はひっこまない。
塚にシテの老人が入って、そして後見人たちが衣装を手に近づいてきて、
塚の中(ファンシーケースみたいな>コラ)でゴニョゴニョお着替えをして
変身! 鬼神になって再登場するのだけど、
これが歌舞伎だったら信じられないくらい、時間がかかる(^^;
歌舞伎はサッとひけて、パッと早変わりして、「出るよ!」の掛け声と
ともに「ジャン!」と出てくるのだけど、
…エライ違いです。どちらがいいというのではありません。
とにかく、えらく違う。それがそれぞれの「美」の意識であるということで、
それがまたinterestingであると思った。
ということで、次は9月定例となります。




2013-07-07 (Sun)

ハイドン:ロンドン・セット ツィクルスⅠ

ハイドン:ロンドン・セット ツィクルスⅠ

ハイドン:ロンドン・セット ツィクルスⅠ[指揮・チェロ]鈴木秀美[コンサートマスター]田野倉雅秋名古屋フィルハーモニー交響楽団 ハイドン:  チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb-1 交響曲第93番ニ長調 Hob.Ⅰ-93 交響曲第100番ト長調 Hob.Ⅰ-100『軍隊』アンコール 交響曲第92盤ト長調 Hob.I-92『オックスフォード』第3楽章「メヌエット」7月5日(金)しらかわホール大パトロン:ニコラウス公の庇護の下で順調な音楽活動をしてい...

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ハイドン:ロンドン・セット ツィクルスⅠ

[指揮・チェロ]鈴木秀美
[コンサートマスター]田野倉雅秋
名古屋フィルハーモニー交響楽団

ハイドン:
 チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.Ⅶb-1
 交響曲第93番ニ長調 Hob.Ⅰ-93
 交響曲第100番ト長調 Hob.Ⅰ-100『軍隊』

アンコール
 交響曲第92盤ト長調 Hob.I-92『オックスフォード』第3楽章「メヌエット」

7月5日(金)しらかわホール
20130705.jpg

大パトロン:ニコラウス公の庇護の下で順調な音楽活動をしていたハイドンは、
公の死後、招きを受けてロンドンに渡る。
1790~の2回のロンドン外遊中に生まれた作品をロンドン・セットと呼ぶ。
膨大なハイドンの作品の中のこの時期に焦点を当てたツィクルスの1回目。

ハイドンは、天才の煌めきとアンニュイを持つモーツァルトと、
大ベートーヴェンの哲学性の同時期にいて、いまひとつ「もうひとつ」感がある。
明るくて、信頼感に満ち、安心して聴けるが、それ以上の何かというのは、
どうかな?…と思われがちではないだろうか。
私も高校生ごろからずっとそういう認識でいた一人。
ところが、トシをとるにつれて、ハイドンとか、あるいはバロックのものに、
だんだん愛しさと好きが増幅してきて、興味が膨らんできた最近、
そんな中で出かけたコンサートだったが、、、

そんなものではなかった。
もっと、ものすごく素晴らしかった!
ハイドンが、あんなに豊かで、楽しくて、美しくて、ワクワクして、ノリノリで、
しかも幸福感に満ちた喜びを与えてくれるなんて、思ってもみなかった。
嬉しい想定外の大発見、ハイドン、再認識!
これからは「パパ:ハイドン」をリスペクトしてついていきます(^^

ハイドンは、当時は大人気の音楽家で、「今で言うマイケル・ジャクソン」と
鈴木さんはおっしゃったが、ロンドンは大興奮、オックスフォードでは
ハイドンがなかなか来ないと怒った市民が暴動を起こしたのだそうだ。
すごいな(^0^

言うまでもないのだけど、鈴木秀美さんのチェロ、素晴らしかった!
ガット絃が張ってあって、エンドピンがないということで
(→こちらにご本人の文章あり)
それが激しい演奏によって時に古いクラシックギターのような音を出すのだけど、
(表現が稚拙でごめんなさい)それがまた風情があって、すごくいい。
また、鈴木さんの気持ちをすべて知り尽くしているように、阿吽の呼吸で
全体をリードしておられた田野倉さんの素晴らしさにも感動。

プレトークの時に「楽章の間に拍手してよいのだよ」というお話があり、
途中でパラパラ…と拍手がわき、ちょっと呼応できるほどでもなくて、
みんなが(^^;となりながら進んだ。
終演後鈴木さんが「途中の拍手はもっと大きく。でないと反応に困ります(笑」
とおっしゃって、そんななごやかなアットホームなコンサートでした。

しらかわホールは700席ほどのちょうどいいくらいの大きさなので、
こういうコンサートには最適ですね。
次は来年2月、ホーネック先生で。

迷わず買ってきたお土産CD
3haidonn.jpg





* by 珍言亭ムジクス
「ハイドンの本当の魅力がわかったでしょ?」と言われているような、嬉しくてたまらない名演でした。
鈴木秀美さんは様々な機会で聴いてみたい・・・ちょっと追っかけてみたくなります。
さしずめ10月27日の「鈴木秀美のガット・サロン」でメンデルスゾーンの八重奏曲が聴けるので、段取りをしようと思います。

* by 美月
ほんとうに身体が浮き上がるような楽しく素晴らしいコンサートでした♪
10月の「ガット・サロン」は宗次ホールのようですが、まだ一覧にはアップされていませんね。
メンデルスゾーンとガット絃、ビブラートなしで…と興味が湧いてきます(^^

2013-07-04 (Thu)

名フィル定演 第403回

名フィル定演 第403回

名フィル定期演奏会 第403回「ガイア」シリーズ<水-波に翻弄される舟> ラヴェル:海原の小舟 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 作品26フランツ・シュミット:交響曲第4番ハ長調 ラフマニノフ:ヴォカリーズ 作品34-14 ラフマニノフ: 絵画的練習曲集(音の絵) 作品39より第5曲変ホ短調[指揮] ティエリー・フィッシャー [ピアノ] イリヤ・ラシュコフスキー [コンサートマスター] 田野倉雅秋名古屋フィルハーモニー交響...

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名フィル定期演奏会 第403回
「ガイア」シリーズ
<水-波に翻弄される舟>

ラヴェル:海原の小舟
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 作品26
フランツ・シュミット:交響曲第4番ハ長調
ラフマニノフ:ヴォカリーズ 作品34-14

<ソリストアンコール>
ラフマニノフ: 絵画的練習曲集(音の絵) 作品39より第5曲変ホ短調

[指揮] ティエリー・フィッシャー
[ピアノ] イリヤ・ラシュコフスキー
[コンサートマスター] 田野倉雅秋
名古屋フィルハーモニー交響楽団

6月15日(土)愛知県劇術劇場 コンサートホール
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名フィルを大きく飛躍させたフィッシャーが浜松国際ピアノコンクールの
第1位をつれて年の一度のフィッシャー祭りに帰ってくる、
しかも、そのプログラムが、これまたマニアック系で、
「聴き逃してはならない」という思いと、「シュミット…?」という思いから、
皆さん予習に励んだ回だったと思う(^^
かくいう私も、こんなに熱心に予習したのは初めてかもしれなかった(^^;

ラヴェルと「ヴォカリーズ」は家にあるCDを引っ張り出してきて聴きなおした。
プロコフィエフのピアコン3番は、聴いたことはあるものの、おぼろげ。
にわかに、アルゲリッチがデゥトワとモントリオール響で録音した1997年盤を購入、
これが実に素晴らしく、わーんだほ~♪で期待感高まる、高まる。
で、問題のフランツ・シュミットの4番は、恥ずかしながら「その人、どなた?」
だったので、探すこともおぼつかなかったが、ヤルヴィとデトロイト響のものを
ダウンロードして、いつも携帯して、何度もくり返し聴いて、当日に臨んだ。
「なかなかいい曲じゃん?」と思いつつ。

さて、ラヴェル。フィッシャーはいつも、どこからどんな音が鳴っているか、
明晰にピックアップして提示していくような作りが特徴で、この曲も
クリアな、印象派絵画が目に見えるような演奏。
波はかなり大きく、たぶん他の指揮者よりも大嵐で、この小舟は完全に
難破するでしょー、などど思いつつ(はい、ごめんなさい^^;)

プロコフィエフは、アルゲリッチ盤がかなり軽快で強く、アグレッシブな
演奏であったのに比べて、浜松の覇者は、もっとやさしく、やや物憂げで
哲学的であったと思った。それは若さでもあり、覇者の自負であるのだろう。
イメージは別物だが、どちらも素晴らしいことに違いなし。

シュミットは、予習していったのよりも、もっと沈鬱で、亡き娘へのレクイエム
という思いが強く表現されていたように思った。
ヤルヴィ盤は、曲としての面白さが一番に出されていたが、フィッシャーは
曲全体の感情が一番にされているというか、予習で「わりとノリがいい」と
思っていたのとは違って、これも内省的で、前曲のピアノと呼応していると思った。

最後に「ヴォカリーズ」
なんでここにこれがくるのか、なくてもよかったんじゃ?
いや、あれはもともとアンコール用という目的だったのだ、などなど
みなさん語らっておられた。
私は、シュミットが重かったので気分が沈降気味だったので、ヴォカリーズが
あってよかった。癒された。

それにしても、またしても若き天才の演奏を聴いた。輝かしき受賞歴、
1984年生まれ、先月のアンディくんに続く神の祝福を受けたイケメン演奏家。
アンコールのラフマニノフがとてもよかった。
浪漫が満ち満ちて、世界がふわ~~っと広がり、素晴らしかった。




2013-07-01 (Mon)

7月てぬぐい

7月てぬぐい

あっという間に7月。7月と言えば、たなばたさらさら。年に一度だけだなんて酷すぎる、必ず逢わせてあげたいねーWhen you wish upon a starMake no difference who you areAnything your heart desiresWill come to you ~☆♡★心から希求していることって、なんだろう?...

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あっという間に7月。
7月と言えば、たなばたさらさら。
年に一度だけだなんて酷すぎる、必ず逢わせてあげたいねー

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When you wish upon a star
Make no difference who you are
Anything your heart desires
Will come to you ~☆♡★

心から希求していることって、なんだろう?

* by ちゃいむ
たなばたてぬぐい、かわええー(*^_^*)
うさぎさんというのがいいね。

* by 美月
うふっ♪かぁーいーっしょ~~(*^^*
うさぎさんは平日は月でお餅つきに勤しみ、
七夕になるとデートに出てこれる、らしい・・・??

2013-07-01 (Mon)

シネマ歌舞伎「刺青奇偶」

シネマ歌舞伎「刺青奇偶」

月イチシネマ歌舞伎 6月「刺青奇偶」 6/18生来の博打好きで江戸を追われた半太郎は、身投げした酌婦のお仲を助ける。お仲は不幸続きの人生に疲れ、嫌になったのだ。しかし、半太郎の心の美しさ、男らしさに惹かれ、二人は夫婦になる。仲睦まじい夫婦であったが、半太郎の博打好きは止められず、やがて死の病に罹ったお仲は、半太郎の人生を思い、その腕にサイコロの刺青を掘る。「博打はいけないよ」「思い出してね」と言いながら...

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月イチシネマ歌舞伎 6月「刺青奇偶」 6/18

生来の博打好きで江戸を追われた半太郎は、身投げした酌婦のお仲を
助ける。お仲は不幸続きの人生に疲れ、嫌になったのだ。
しかし、半太郎の心の美しさ、男らしさに惹かれ、二人は夫婦になる。

仲睦まじい夫婦であったが、半太郎の博打好きは止められず、
やがて死の病に罹ったお仲は、半太郎の人生を思い、その腕にサイコロの
刺青を掘る。「博打はいけないよ」「思い出してね」と言いながら。

お仲に更生を誓った半太郎だが、死の前にいい思いをさせてやりたいと
賭場に向い、難癖をつけて大金を得ようとし、親分と対決することに…

[上演月]2008年4月
[上演劇場]歌舞伎座

半太郎:中村 勘三郎
お仲:坂東 玉三郎
熊介:片岡 亀蔵
太郎吉:市川 高麗蔵
鮫の政五郎:片岡 仁左衛門


これは初めて観ました。
半太郎、ダメなやつです。こういう男、いますね、現代にもたくさん。
私も腕に刺青入れてやりたいわよと思う女性もいっぱいいるでしょう。
しかし、いい男だし、心根は優しいし、色気はあるし、ってわけで
別れることもできない、という事情、わかりますねー(^^

勘三郎さん、そういう男を演じて、実にお上手です。
ご存命の頃にはさほど思わなかったけど、やっぱうまいわー。
お仲(玉さま)が泣きながら、博打はいけないよ、いけないよ、
ごめんね、ごめんね、と言いつつ刺青を入れるシーン、
秀逸です。泣けますぅ。
で、政五郎親分の仁左さま、きゃーん、かっこいい♪シブいです。

しかし、ダメな男に優しい日本、しょうがないなあと許す、
でもいい男なんだもん、と。これは伝統文化ですね。母親文化?

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2013-07-01 (Mon)

シネマ歌舞伎「文七元結」

シネマ歌舞伎「文七元結」

月イチシネマ歌舞伎 5月「文七元結」5/28 ミッドランドシネマにて左官の長兵衛は腕はいいのだが、大の博打好きで、家はいつも火の車。見かねた娘お久は、自分から吉原を訪れて、身を売って家計を助けようとする。長兵衛は、妓楼の女将に諭されて、その50両を手に家に帰る道中、今にも身投げをしようとしている若者(文七)に遭遇。助けた若者は、集金してきたお店のお金50両を紛失してしまったのだと言う。見かねた長兵衛は50両...

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月イチシネマ歌舞伎 5月「文七元結」
5/28 ミッドランドシネマにて

左官の長兵衛は腕はいいのだが、大の博打好きで、家はいつも火の車。
見かねた娘お久は、自分から吉原を訪れて、身を売って家計を助けようとする。
長兵衛は、妓楼の女将に諭されて、その50両を手に家に帰る道中、
今にも身投げをしようとしている若者(文七)に遭遇。
助けた若者は、集金してきたお店のお金50両を紛失してしまったのだと言う。
見かねた長兵衛は50両を文七にそっくりあげてしまう・・・・

[上演月]2007年10月
[上演劇場]新橋演舞場

長兵衛:中村 勘三郎
女房お兼:中村 扇雀
文七:中村 勘太郎(現・勘九郎)
お久:中村 芝のぶ
伊兵衛:片岡 亀蔵
和泉屋清兵衛:坂東 彌十郎
角海老女房お駒:中村 芝翫


これは前にも観ているのだけど、何度観てもいい話だね(^^
厚い人情と涙と笑いのハッピーエンドという王道の作品。
いいことをすればいいことがあるよ、正直にまっすぐに生きるんだよ、と。
ダメなヤツにもいつも温かな目を外さないところが実に日本的、江戸的。
勘三郎さん、当たり役。

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