ひさびさの「THE映画!」といった感じの、王道をいく感動作。1950年代の「決断の3時10分」のリメイクだが、オリジナルの詩情やラストなどはかなり変えられているそうである。いわゆる「西部劇」で、派手なCGやデジタル加工はなし、ドラマチックな音楽もなし、ただ俳優たちが、セリフと演技で見せる。あとは、開拓時代の西部の風景と、人と馬と牛、それだけ。しかし、非常に迫力があり、緊迫感があり、勢いとスピード感があり、また...
1950年代の「決断の3時10分」のリメイクだが、オリジナルの詩情や
ラストなどはかなり変えられているそうである。
いわゆる「西部劇」で、派手なCGやデジタル加工はなし、ドラマチックな
音楽もなし、ただ俳優たちが、セリフと演技で見せる。
あとは、開拓時代の西部の風景と、人と馬と牛、それだけ。
しかし、非常に迫力があり、緊迫感があり、勢いとスピード感があり、また
しみじみとした感動もあり、実に見ごたえのある名作。

名うてのアウトロー、極悪強盗団のボス、ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が
捕まる。ボスを助けようと、屈強の手下どもが追ってくる。
その先手を打って、3日後の3時10分の、刑務所のあるユマ行きの列車に
ウェイドを乗せなくてはならない。
誰が、駅のある町まで、ウェイドを連れて行くか?
借金苦にあえぐ牧場主(クリスチャン・ベイル)が、慰労金ほしさにその役を
買って出る。
このラッセル・クロウVSクリスチャン・ベイルが、めっちゃいいのである♪
ラッセル・クロウは、少し体をしぼってスリムになって、
悪人の色気をあたりいっぱいにふりまき、「すきあらば…!」のキケンで極悪で、
魅力いっぱいのとろけるイイ男ぶり。
クリスチャン・ベイルも、バットマンの時の幼稚さとは全然違った、大人の男の
疲れと、正義と、世渡りと、責任と、すべて諸々を抱え込んだ繊細で放っておけない
屈折した魅力にあふれている。
また、シブいピーター・フォンダも見過ごせない演技。
真っ向対決だった二人の男の間に、旅の終りにはやがて友情に似た絆が
芽生えてくる。
悪が勝つか、正義が勝つか、目が離せないスピード感に満ちた感動のラスト
への展開は実に迫力がある。
男はどうあるべきか、男ならどう生きるべきか、
男ならば、息子に、男として尊敬される、そんな生き方をしたい、
世のおとうさんたち誰もが願っているであろう、そんな究極の願望を充たし、
共感と陶酔へと導くのは、想定内でありながら、新鮮な感動だ。
女性視点からも愛すべき男たちの生き様にいとおしさがあふれる。
公開劇場は少ないが、機会あればぜひ、のおススメの一作。