「12人の怒れる男」は、法定ものの金字塔とされる作品で、リメイクも多く、1957年のヘンリー・フォンダ主演の映画が有名。今回は、舞台をロシアに移し、現代ロシアの社会情勢、民族問題などを浮き彫りにし、新たな魅力を加味した作品となっている。監督は、陪審員長として出演している二キータ・ミハルコフ。チェチェン人の少年が、ロシア軍将校だった養父を殺害した罪で裁判にかけられている。すでに審議は終了し、後は陪審員が結...
リメイクも多く、1957年のヘンリー・フォンダ主演の映画が有名。
今回は、舞台をロシアに移し、現代ロシアの社会情勢、民族問題
などを浮き彫りにし、新たな魅力を加味した作品となっている。
監督は、陪審員長として出演している二キータ・ミハルコフ。
チェチェン人の少年が、ロシア軍将校だった養父を殺害した罪で
裁判にかけられている。
すでに審議は終了し、後は陪審員が結論を出すまでだ。
12人の市民陪審員たちは、みな自分のことで忙しいし、
どうせ凶暴な恩知らずのチェチェン人が、善良なロシア人を
殺したのだろうとして、さっさと最高刑に決めて、終わらせようぜ、
の流れの中にある。
ところが、一人の陪審員が、異議を投げかける。
このまま決定したら、あの若い少年は一生を刑務所の中で
過ごすことになる。
それでほんとにいいのか? 真実はどうなんだ?
それぞれの陪審員の独白が、迫真の演技で引き込まれる。
「陪審員制度」というものについても考えさせられるし、
人が人を裁くことの難しさもひしひしと伝わってくる。
また、ロシア周辺のあの複雑な民族問題にも、再考を喚起される。
さらに、カルチャーショックというか、
民族としての文化の相違が引き起こす大きな誤解や思い込み。
そして、テロ、紛争、殺戮・・・という、実際に今起こっている現実。
様々な問題を目の当たりに突きつけられて、とても重々しいものを
受け取らざるを得ないが、しかし、非常に見ごたえのある作品だ。
なまっちょろい日本の平和が別世界に感じられる。
私たちはもっと知らなければならないことがいっぱいある。
まあ、民族紛争などは、そう安々と理解できるものではないのだが、
しかし、あまりにものんきに知らなさ過ぎる自分を反省させられる。
ちょっと、わからないなりにも、勉強しなくちゃね、と思った。
>日本でもまもなく裁判員制度が始まるし
これ、いろいろ考えさせられるねー。
私なんかに裁くことができるんかい?ってのと、
あんたなんかに裁かれたくないってのと、誰だっておんなじさってのと。
それと、民族とか人種とかもそうだけど、人間って、
自分と違う属性のものを排除しようとする本能?みたいなのがあるじゃん。
それをどう扱うか、とか、ね。
ニュースで見るときにチラッと「へぇ~」って思う程度。
根深い問題なんだろうね。
日本でもまもなく裁判員制度が始まるし、
自分たちもいつ裁判員にされるかわからない状態。
だから、こういうの見ておくといいのかもしれないね。
「みな自分のことで忙しいし、どうせ凶暴な恩知らずの
被告人が、善良な被害者を殺したのだろうとして、
さっさと最高刑に決めて、終わらせようぜ」
ってならないとも限らないしねー。