第435回定期演奏会
ショスタコーヴィチ:バレエ『黄金時代』組曲 作品22aより「序奏」,「ポルカ」,「踊り」
シュニトケ:ヴィオラ協奏曲
ショスタコーヴィチ: 交響曲第6番ロ短調 作品54
[指揮] ドミトリー・リス(指揮)
[ヴィオラ] アンドレア・ブルガー
[コンサートマスター] 荒井英治(客演)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
5月20日 愛知県芸術劇場コンサートホール
--------ロビーコンサート-------------
木管三重奏
[オーボエ=竹生桃、クラリネット=浅井崇子、ファゴット=三好彩 ]
イベール:木管三重奏のための5つの小品
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芸術監督としてウラル・フィルを世界的な注目を集めるまでに躍進させた、ロシアの名匠リスが名フィル初登場! 2015年第3回東京国際ヴィオラコンクールを制したスイスの新鋭ブルガーと共に、ソヴィエト連邦が生んだ最重要作曲家二人のレガシーに挑みます。<名フィルサイトより>
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今月はシュニトケも6番も初めての曲だ。
コンサートに先立ち、恒例ロビーコンサートは「名フィル木管の花」トリオ
による、三重奏。
これがとてもかわいらしく華やかで癒されること~♪
なんて素敵なの~(*^^* と思ったのもつかの間・・・・ハードな本番がスタート。
本日のコンマスはめずらしく客演の荒井さんです。
まずはショスタコーヴィチの「黄金時代」というバレエ組曲からの3曲。
「黄金時代」はバレエというよりも「体操」という感じのものらしい。
ロシアのこの時代のことは資本主義の我々にはよくわからないなあ。
明るく軽快な感じでありながら、やはりタコ先生らしい特色がはっきり見える
3曲でいい感じに高揚し、ウォーミングアップしました。
2曲目は、オケにはヴァイオリンがなし。
その位置には、ハープ、ピアノ、チェンバロ、チェレスタなどが並ぶ。
打楽器もたくさん出てきて、なんというか、ものものしい雰囲気に。
ソロを弾かれるアンドレア・ブルガーさんは、真っ赤なドレスで
真夏の庭にすっくと咲く大輪のダリアのような華やかさだった。
シュニトケの作品を聴くのは初めて。
演奏がとても難しいです!というのが伝わる曲で、素晴らしい演奏だった。
もの凄い集中力と迫力が会場全体を包み込み、聴く方も肩に力が入る。
あなたが、これまで人生でいろいろあっただろうが、その中でも最も辛く
苦しく、重々しい日々を過ごした時期があったなら、それを思い出してみて
ほしい。とてもとても耐えがたい思いの中で、逃げ出すことはできず、
その苦しみが時が来て去るまで、じっと耐えて我慢するしかなかった時、
そんな時があったとしたら、その時の気分だ。
一瞬も救いがない、重々しい35分間。
もの凄く凝縮された世界だった。ソロもオケも渾身の演奏だった。
しかし、また聴く機会があったとしても、もう自分には気力体力がない、
そんな曲でした。
休憩をはさんで、後半。
ごめんなさい、6番は勉強不足でよくわかりません。
ただ、シュニトケにやっつけられた後だったので、とても救われた感じがした。
イメージ的には、
エーゲ海の小島、美しいけれど静かな、郷愁のある、という第一楽章、
スケルツォで疾走する、タコ先生らしさがあふれる第二楽章、
どことなくスペーシィな感じが煌めく、迫力ある第三楽章、
というような個人的な感想でした。(3楽章形式)
プログラムに、「ショスタコーヴィチの正しい聴き方」という、音楽学者の
一柳富美子さんの文章が載っていた。最新研究によれば・・・・
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ショスタコーヴィチといえば、「二枚舌」、
体制に迎合すると見せて、実は裏では強烈に体制批判をしている、
というのが通説になっている。
しかし彼の二重メッセージは、体制か反体制か、ではなくて、公か私か、
なのである。
5番は不倫を清算するための決意表明、10番も女性問題を絡めている。
「体制/反体制」で解釈するのは愚の骨頂、
そうではなく、どんなプライバシーが秘められているか、を空想するのが
絶対に正しい聴き方なのだ。
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そーなの?不倫問題なの?あの5番が?10番も?・・・・・
私としてはどっちでもいいけど、
何が込められているか、よりも、好きか嫌いか、自分が何を感じるか、
という感覚的な聴き方しかできない私はやっぱりダメなんですよね・・・・
それが面白味であり
批判の的にもなるわけですね。