先生(西研さん)の解説がフレンドリーで興味深かったので、テキストも買って読んでみた。自分なりのまとめメモ。●「神は死んだ」「超人のために没落せよ」神に与えられる天国での恩恵のために現世を禁欲的に生きるという受身的な幸福観を脱し、自ら価値を創造していく人・生き方を「超人」と呼ぶ。「超人」は宗教的「善」を価値とせず、自らの生の喜びの中に価値を見出す。その意味において「超人的生き方を目指して、あえて神の...
テキストも買って読んでみた。
自分なりのまとめメモ。
●「神は死んだ」「超人のために没落せよ」
神に与えられる天国での恩恵のために現世を禁欲的に生きるという受身的な幸福観を脱し、自ら価値を創造していく人・生き方を「超人」と呼ぶ。
「超人」は宗教的「善」を価値とせず、自らの生の喜びの中に価値を見出す。その意味において「超人的生き方を目指して、あえて神の救いから没落せよ」と言うのである。
●「ルサンチマン」「末人」
「恨み、妬み、嫉み」といった感情=ルサンチマンに囚われてしまうと(どうせ、どうせ、私なんか…、となり)、「ニヒリズム」に支配され、自らの価値を肯定することができなくなる。希望や理想、憧れをなくし、現実の安逸を第一とする、つまらない「末人」となりはててしまう。
独自の新鮮な価値観を創造していくためには、自身を肯定することから始めなければならない。
「貧しきものは幸い」「悪人なおもて往生をとぐ」などの宗教観もまた、いわばルサンチマンの裏返しといえる。私は貧しいけど、善行はできないけど、でも、天国(極楽)で救われるんだもん、という消極的論理だ。
そうではなくて、今の自分の幸福を、自分で、創造していかなければならない。
●「永遠回帰」
宇宙が絶対的総量として恒常性をもって存在するならば、あなたの人生は、何度でも、何度逃げても、何度生きても、またどこかで永遠に繰り返されるのである。
それに絶望してしまうのではなく、永遠回帰を受け入れ、そこに新たな生きる希望を創造していかなかれば、幸福にはなれない。その人こそが、「超人」である。
もし一度でも、生の喜びに震える瞬間があったなら、その人生は、何度でも繰り返される価値がある。あなたの人生は、何度でも生きる価値があるのである。
「我々の魂がたった1回だけでも、弦のごとく幸福のあまりふるえて響きをたてたなら、このただ一つの生起を引き起こすためには、全永遠が必要であった」
愛する人と心が通い合った時、大切な小さな命を手にした瞬間、あるいは、母の胸に抱かれていた幼き充足の日の記憶、そんな一瞬があれば、人は「幸福」を知ることができる。そして何度でも、その幸福に向けて、新たな自分を生き続けられる、というような意味だろうかなと思った。
人は生まれながらにしてアンフェアな存在である。生まれる国、時代、親、貧富、美醜、健康、どれも何一つ自分で選択できない。物心ついた時は、私はもう「私」だったのだ。誰もが少なからず、自分の人生に不満を感じ、不運を嘆く気持ちを持っているだろう。しかし、その「私」でなければ味わえない「人生」を人は生きているのである。その運命でなければ得られない何かを、人はそこで得るのである。
「運命愛」 自らの運命を愛し、肯定せよ。全ての運命は、与えられた遭遇の「チャンス」である。
「全肯定」 自らの存在全てを丸ごと肯定し、自らを愛しなさい。誰も承認してくれなくてもよい。自分で肯定すればよいのだ。「私の人生はすばらしい」と。
世に認められている幸福の形や、受動的に得られる喜びのあり方ではなく、自分が生きているオリジナルの歓喜を、自らの絶対なる「幸福」として認識し、次々と新しい自分を創造し続けていきなさい。
「永遠回帰」がわかりにくいのだけど、(なんとなくわかったような感じ)で、自分なりにまとめてみた。(違っているかもしれない)
ニーチェ(ツァラトゥストラ)の考えは、「個」を重視するもので、共感できると思った。私がよければ、それでよいのだ。私の価値や幸福は、私が創出していくのだ、という独自性は、生き難い現代に大きな説得力を持つものだと思った。やや変わり者的な傲慢さが拭えないだろうが、勇気を与えてくれるひとつの提案である。
「孤独病」にならないように、コミュケーションとレスポンスを大切にしていくことが重要。
宗教的な哲学も否定せず、正しく生きたいという思いはあるが、正しく生きているんだから、それでいいんだ!という開き直りの肯定、みたいなものが強さのポイントだと思った。
客観的に「幸福」とは思えない孤独の人生を生きたニーチェ。最後は精神を病み、錯乱の中に生涯を閉じたニーチェ。それでも、ありえない三角関係のひと時の中に、絶対なる幸福を見出したニーチェ。生きる可能性を示しながらも、壮絶さ、悲愴さが強く漂う。
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コメントありがとうございます(*^^*
キョウシュクです(笑
超釈・美月版、なので、西先生に「そんなこと言ってないよ」と
叱られそうな気もしつつ、あつかましくまとめましたもので、
ごめんなさい。
難解で奥が深いニーチェですが、このトシでやっと入り口に
立てたという感じです。「偏屈者」の色が濃いところが
私には魅力に思えました(笑
これからいろいろ勉強していきたいです(^^
ご無沙汰しております。
ニーチェのご紹介に感謝。とても解りやすかったです。門外漢なのでとても嬉しいです。
ちょっと前に『超訳・ニーチェの言葉』という本が話題になりましたね。
楽しい本でしたが妙に前向き過ぎて、ニヒルなニーチェの印象がずいぶん違って感じられました。
こっちのほうがやっぱりイメージに近い(偉そうですみません)ですね。